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第4章 　　岬？　

「ねえ、岬ちゃん。僕の話を聞いて」

「……？」

「岬ちゃんの話してることは、正直いってよくわからない。〝岬〟と名乗る理由も、明らかな被害者であるはずなのに、どうして自分のことばかりそんなにも責めるのかだって――でも、僕はキミの力になりたいと思うんだ。過去に辛い想いをしたキミを、救うために」

　そう言ってくれた言葉は、嘘ではないのだろう。けれど、それがわたしの心に響くことはなかった。でも、それは均くんのせいではない。

　どろどろの沼のようなこの心に、なんであれ響くことなどないのだった。

「それは同情ですか？」

「違う！　僕は本当に――」

「そうでなければ、エッチなことができるから、わたしのこと都合がよかったのではありませんか？」

　わたしは言葉を投げ捨てるように言うと、軽蔑するような目を彼に向けた。

「え……？」

　なにを言われたのかすぐにはわからないといった感じで、呆然とする均くんは明らかにショックを受けたようだった。

　もう一押しで、彼を遠ざけることができる。わたしとしても必死だった。

「だとするなら、均くんもさっきの動画の男と同類になってしまいますよ。だから――」

「そんなっ！　僕は――」

「無理しないでください。あの美里さんという人――彼女との方が、ずっとお似合いです」

「……」

　わたしの心ない言葉を聞き、均くんは力なく俯いてしまう。