この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第4章 岬?

「ねえ、考えてみたんだけど」
「なにを?」
「名前だよ」
「名前?」
「決まってるだろ。赤ちゃんの」
「ちょっと、気が早いんじゃない。まだ男の子なのか女の子なのか、わからないもの」
「超音波には映ってなかっただろ?」
「そうだけど、お医者さんだってまだ確かではないって」
「まあ、そうだけどさぁ……」
「そんなに、がっかりしないでくれない。一応、聞いてあげるわ。どんな名前?」
「うん……岬なんて、どうかなって」
「ふふふ」
「ど、どうして笑うの?」
「だってぇ、急になんだろうって思うじゃない。もしかして、昔、好きだった子の名前だったりする?」
「ば、ばか……そんな理由でつけるわけないだろ。大事な娘なんだから」
「だから。まだ娘だって決まったわけじゃないよ。ただでさえ、あなたはせっかちなんだから。それでいてドジだし」
「そうはいうけどさ。こうして日に日に大きくなっているのを目の当たりにすると、早く父親らしいことをしてあげたい、そんな風に思えて仕方がないんだ」
「ふふ、生まれてきたらいやでも、お風呂に入れたり、オムツを代えたり、父親の仕事なんていくらでもあるんだから。今からはりきって息切れしないでよね」
「もちろん! なんでもやるよー。ああ、早く会いたいな。ねえ、岬ちゃん」
「もう――あれ、今動いたよ」
「ホント?」
「うん。案外、気に入ったのかもね――名前」
「やったぁ。じゃあ決まりだ!」
「ふふふ、しょうがないなあ」

