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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第4章 岬?

「〝弘前あやか〟が本名なら――じゃあ〝岬〟というのは?」
「それは……」
話そうと思うけど、一体どのように話せばいいのか迷ってしまう。でもこれは、彼にわたしのことを〝見限ってほしい〟から聞かせる話である。
だから、どんな印象を与えるのか、そんなことを気にする必要はなかった。均くんに優しくしてもらう資格なんてないことを、わかってもらえば十分なのだ。
「細かい経緯を話すつもりは、ありません。ですから、ネットで検索した件については、どう思っていただいても結構です。あくまで過程にすぎませんから」
「……?」
「核心の部分を話す前に、まず観てもらうものがあります。単なる動画ですが」
「動画?」
「そうです。わたしのスマホに録画された、とある一場面の」
不思議そうにこちらを見てる彼の視線をかわして立ち上がると、わたしはクローゼットを開き上にある棚に詰まれた書籍の中から、一番分厚い本を手にした。
そしてそれを開くと、その間に挟まっている二つ折りになった封筒を取り出す。
クローゼットを閉めると床に置いてあるパソコンを起動して、そのスロットに封筒に入っていたSDカードを差し込んだ。
「どうぞ、こちらへ」
言うと、ベッドの脇にいた均くんが、わたしの後ろにきてパソコンの画面を覗いた。ほどなく、動画の再生も始まる。
その動画に収められた内容は、以下の通りだ。

