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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第4章   岬? 


「え?」

「つまり、そうなんです。〝あやか〟を、ひらがな表記しただけで、あの切り抜きのグラビアと同じということ」

「そうなんだ……」

 そう言いつつ、均くんは納得した様子をみせない。それもそのはずだ。彼は〝弘前あやか〟が芸名で、岬の方が本名だと思っていたのだろう。

 わたしは、やや話の矛先を変える。

「では〝弘前あやか〟については、どれだけご存知ですか?」

「えっと……クローゼットで切り抜きを見つけたのは本当に偶然で、その後に少しネットで……」

 均くんは最後を言いにくそうにして、そこで口を噤んだ。

 でも、わたしの方では、既にその点を気にするつもりはない。

「じゃあ、アレも?」

「アレって……?」

「気をつかわないでください。〝弘前あやか〟の名で検索すれば、真っ先にヒットする内容くらい承知していますから」

 わたしがそう言って目を合わせると、なにかを聞きたそうにした均くんは、また視線をゆっくりと下げた。

 彼は優しいから、自分の好奇心を満たすためだけに、わたしの過去を暴こうとはしない。そしてアレは単なるきっかけであって、事の本質ではないのだ。

 だから、わたしとしては彼の納得を得るため、更に闇の深い部分を説明しなければいけなかった。そして、均くんも当然の疑問を口にする。

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