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永遠の愛を奪って
第20章 小春の望むこと

椅子に座って私の方に体を向けてくるけど、その表情を見て何を言うのかなんとなく分かった。
「ごめん。話し合ってみたけどあたしの力ではどうにもならなかった。
小春は希望してないからそんなの嘘だって言ったのに、あのハゲったら融通が利かないんだから。どこまでお局様の尻に敷かれてるんだか」
「そう…なんですか……」
「とりあえず、小春からも課長に話してみて。休憩にデスクにいると思うからその時にでも行ってきな。
怖いと思うけど、本人が言いに行くのが一番だと思うから」
「分かりました」
仕事に戻ろうとした時、悪口を言っていた女性社員たちが近くを通りかかって私の方を見てクスクスと笑っている。
きっと、異動することを私に押し付けることができて喜んでいるんだろう。
穂並さんもそれに気づいたようで眉間にしわを寄せていて、二人から私を遠ざけるように印刷室へと連れて行ってくれた。
「異動することを青木に話したの?一緒に住んでいるんでしょ」
「まだ話してません」
「何やってるの!?一刻も早く話しなよ。
青木だって自分のことでいっぱいなんだから、小春のことは小春から話さないと。
離れてからでは遅いってことだってあるんだよ!?」

