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最後の恋に花束を
第6章 大学一年の冬
結局、同じベッドに入った私と遙は少しだけ距離を置いたまま横になった。
少しして、静かな時が訪れる。
彼の吐息が聞こえる距離。
けれど彼の温もりは少し離れていた。
突然に、ガサッと布団が音を立てて彼の方へと巻き取られ、私の身体の上から布団がなくなった。
「 …は?ちょっと… 」
意味がわからず、少し笑いを零しながら遙の方をみると、ミノムシのように布団を身体に巻きつけ私に背中を向けていた。
『 ぷぷっ… 』
私の反応が面白かったのか、彼は笑いながら背中を揺らしている。
「 ちょっとー、返してよ!」
彼の身体に巻きついた布団をグイッと引っ張ると簡単に剥がれたので、そのまま私は彼から布団を引っ張りあげる。
『 ちょいちょいちょいっ… 』
「 んーー寒いのはやだ! 」
抵抗する彼に、私も身体に負担を巻きつけて抵抗する。
笑いながら布団を取り合う私たち。
まるで修学旅行みたいだ。
その取り合いが数分間続き、力尽きる頃。
彼の温もりは、私のすぐ隣にあった。
『 はー… 疲れた。お前男かよー 』
「 ははっ… 男じゃないですー 」
笑い合う私たち。私が布団をかぶると、同じように彼も隣で布団にもぐった。
そして、静けさが舞い戻ってくる。
笑いで飛んでいた緊張が
再び私の心臓に返って来た時。
『 … 可奈 』
その声に、私の心臓がビクリと飛び跳ねる。
私の名前を呼んだ彼は布団から上半身を出すと、私に覆い被さるように顔の横に手をつき、私の顔を見下ろした。

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