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最後の恋に花束を
第6章 大学一年の冬
「 えっ… なんで?」
その瞬間、以前に彼の家に泊まった時のことを思い出す。あの日も彼はベッドで寝る事を拒んだ。一人硬い床で寝ようと。今日もそうだ。こんな所まで来ておいて、ソファで寝ようとしている。
それは、彼なりの優しさなのか…
それとも…
「 とにかく… おいでよ 」
思わず私はベッドから身体を起こすと、彼の元へと近づき彼の顔を覗き込んだ。
『 なんで?』
大きな瞳と綺麗な肌の彼が私を見る。
少し濡れた毛先が、色っぽく感じた。
「 だ…だってこんなに広いベッドだよ?」
『 可奈は… 』
彼が言葉に詰まった。
そのとき一瞬だけ彼が視線を逸らして再び私を見る。
『 可奈は…平気で男をラブホのベッドに誘うんだ?』
小さく灯ったままの暖かい部屋の明かりが、キラリと彼の瞳を輝かせた。彼はまっすぐに、私だけを見つめている。
「 そ… そんなわけないでしょっ 」
少しだけ苛立った私は、言葉を投げるように吐く。そしてその場を離れて先程までいたベッドへと潜り込んだ。
彼の瞳が、一瞬で脳裏に焼き付いたのが分かった…
『 あれ? 可奈?』
トボけた声で私を呼ぶ遙。
『 怒った? 可奈? ジョーダンだって 』
近く声とともに、フワフワとマットレスが揺れ布団がガサッと動く。そして、バッと布団を剥がされた。そこにはベッドに入った遙の姿があった。
ニコニコと、ご機嫌な表情の彼が。

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