パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第9章 はじまりの冬

思わぬ言葉に驚いたのか、視界が涙で滲んでいく。彼は優しく私の顔を覗き込み髪を撫でていた。

『 それでも… いい？ 』

「 … 独り占めしたい 」

『 … ごめん、それは出来ないんだ 』


そんな事知っている。分かっている。
それでも、貴方が欲しくて欲しくて

堪らない


「 だったら… 」

『 … うん？ 』


「 … どこにも行かないで 」


貴方だけは… 何があっても
私から離れていかないで…


『 俺はどこへも行かないよ 』

「 … 私のこと 」

『 … ん？ 』

「 … 守ってよ 」

『 … うん、必ず。』

「 それから …… 」





「 …… 愛して 」




自分の方から到底出るはずのない言葉が、次々と溢れていく。そしてその言葉に応えるかのように、遙は優しく言葉を続けた。




『 …… もう、愛してるよ 』




苦笑いを零した彼の腕が私の手からするりと離れると、私の身体をギュッと抱き締めた。甘い香りに包まれ心臓が跳ね上がる。


「 私が幸せになるまで… 責任取って 」

『 あぁ、もちろん 』


耳元で囁くその声は、とても優しく。
初めて " 永遠 " というものを望んだ瞬間だった。

密着した身体。彼の顔が視界に入ると、彼は私の身体を抱き締めたままゆっくりと唇を重ねた。

チュッ … とリップ音が響き、啄むような口付けが幾度となく繰り返される。熱を帯びた二人の吐息が交わる。

抱き締められた身体がゆっくりとベッドに横たわると、彼は私に優しい口付けを落としながら私の身体に跨る。

音を立てて離れた唇の感覚にうっすらと瞼を持ち上げると、すぐ側にある彼の顔が視界に入る。少しだけ色っぽく濡れた唇に綺麗な素肌に、視線が吸い込まれていった。