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愛おしいキミに極甘な林檎を
第21章 アナタを愛シテ逆らえない

「波が穏やかで助かりましたよ」
ここで夢のようなことにはならなくて安心すると、張っていた気が緩んで涙が出てきた。
「良かったぁ……。ソラせんぱい……」
海で泳いで冷えているソラ先輩の体を私は強く抱き締める。
海から上がって疲れているのに、両手を私の背中に回して「大丈夫だよ」っと言って摩ってくれた。
落ち着いて涙を手で拭ってから理人さんの方に顔を向ける。
「理人さんも無事でよかったです。ここまで問い詰めてしまってすみませんでした……」
「…………。いえ、僕の方こそすみません」
「何ともなくて良かった。このままだと風邪を引くからホテルに戻った方がいい」
課長にそう言われて立ち上がって歩き出す。
ホテルに着いてから別れる前、理人さんが目尻を下げて話し掛けてくる。
「あの、塑羅緒さん……。本当に…大丈夫なんですか」

