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愛おしいキミに極甘な林檎を
第65章 番外編:Totus tuus

もちろん、自分の気持ちをすべて言えなくてソラ先輩に隠していることもある。
理人さんが言っていることは間違っていないけど、私は……――――
鈍い思考で反抗していると、ソラ先輩が私の頭をそっと撫でてくる。まるで大切なものを可愛がるように優しく……。
「いいえ。つらくないですよ」
「そう…ですか……。風子さんとは色々あったようなので慣れたんですか?」
「慣れたというか、風子とは長い付き合いなのでよく見ていればなんとなく分かりますから。
すぐに顔に出るから見ていれば分かるんですよ。意地を張ることもありますけど本当は素直な子なんです」
ソラ先輩……。それは喜んでいいことなの……?
「僕はそう思えないですけど」
「ふっ。俺の前では自然によく笑っている時が多いですから。それが今の風子の気持ちだと思うんです。
外に出ている時に悩みはあると思いますけど、彼女の中に固まっている気持ちがあるって俺は思っていますからつらくないんですよ」
髪に触れてくる大きな手のひらが温かい。
私のことを話すソラ先輩の声のトーンも落ち着いたもので、結婚するに向けて決意した気持ちは同じなんだと思えた。
「信じているという事ですか……」

