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愛おしいキミに極甘な林檎を
第54章 想いと青春の絆

ごめんなさい……、ごめんなさい……。
部屋着にコートを羽織っただけではとても寒い上に辺りはすっかり暗くなっている。
走った時に吐く息は白くなり、鼻水が出てくるほど体が冷えてくる。
積み重なるつらい現実から逃げ出すように家を出てきたものの、向かう場所は決めていない。
ここに引っ越してきてから会社かコンビニ、スーパーに行く道しか通っていなかったから土地勘はない。
適当に足を進めていたら住宅街の入り組んだ狭い道に迷い込んでいた。
「ううっ……」
泣きながらどこに行っても逃げることができない。
実家に行っても、祖父の家に行っても逃げられなくて迷惑を掛けてしまう。
どこに行っていいのかも分からなくなった私は住宅街の一角にある誰もいない小さな公園で足を止めた。
唯一持ってきたスマホをコートのポケットから取り出してLOINEのメッセージ画面を開き、送れなかったメッセージを書き始める。
せめて……、あのことだけは――――

