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愛おしいキミに極甘な林檎を
第54章 想いと青春の絆

「彼女との婚約は破棄しません。何度言ったら分かってくれるんですか。……余計なことをしないでください」
スマホのスピーカーから僅かに漏れているお婆さんの声の会話を聞いていると婚約のことを話していることが分かった。
「大丈夫」っと先程言ってくれていた声色とは違くて、とても怒っているようにも思えた。
祖父母とあまり仲が良くないといっても血が繋がった家族。
小さい頃から大切に育ててくれていたんだから、本当はソラ先輩だって争いたくないはずだ。
それが私のせいで……。
私のせいで、ソラ先輩は……――――
ネット上に書き込まれたことも、嫌な思いをしているのも全部私がいるから悪いんだ。
私がいなければもっと幸せになれて、こんなことで悩まないで済んだのに……。
「ソラ先輩……、ごめんなさい……」
「風子……!?」
ずっと我慢していたものに耐えられなくなった私は、コートを持って外へと逃げ出した。

