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愛おしいキミに極甘な林檎を
第51章 偽りの恋人

続く言葉はなくて、帰ってきて欲しくないと言っているように不都合そうな顔をしている。
聞きたいことがいっぱいあるのに早速つまづいてしまった。
とりあえず脱いだブーツを下駄箱にしまい、家に上がるとなぜなのかソラ先輩が前に立ちはだかる。
「晩御飯は食べてきたの?」
「まだですよ。ソラ先輩もまだでしたら一緒に食べませんか……?」
「うん。俺もまだだから一緒に食べよう。どこかに食べに行こうか?」
「今日はどこも混んでますから家で食べましょう。私が作ります」
いつまで経っても退けてくれないから避けてリビングへ向かおうとすると、行けないように邪魔をしてきた。
しかも右に避けても、左に避けても阻止される。
「なにをしているんですか?廊下は寒いですからでリビングで話しましょうよ」
「ちょっと待って!中に入っちゃダメだ!」
足止めしてくるソラ先輩を押してリビングへと続くドアを開けてみると私は目を疑った。
「これは……、どういうことですか……」
あまりの衝撃に我慢していた涙が頬を伝ってきて、震えた両手で口元を抑える。

