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愛おしいキミに極甘な林檎を
第51章 偽りの恋人

立ち尽くしていると後ろからがっかりするような溜息が聞こえてきた。
「これだから風子にまだ帰ってきて欲しくなかったんだよ……」
「ううぅっ……。ソラ先輩……、なんで……」
家を出た時とは見違えるほど散らかっているリビング。
普段から綺麗にしているからここまで部屋の中にごみが散乱している場面を見たことがない。
ベランダ側の方に行くと足の踏み場がないほど袋と紙が置いてある。
でもそんなことよりも真っ先に目についた物があった。
壁にはリースが飾られていて、テーブルの上にはスペースを埋め尽くすほどのクリスマスグッズが置かれている。
その中でも一番目立っているのは部屋の隅に置いてある大きなクリスマスツリー。
飾りは一個もついていなくてまだ未完成のようだった。
「帰ったら風子がいなかったから、サプライズで準備しようと思っていたのに……」

