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愛おしいキミに極甘な林檎を
第50章 pallidus memoriae*儚い恋と永久の愛



家に帰ってからも触れた手が温もりを覚えていて、話したことも頭の中で何度も再生されていた。


今日偶然会ったことが忘れられない。


どれだけ時間が経ってもあの人の思い出はずっと、ずっと消えない……。


こんなにも忘れられないのなら、付き合っている時にどうして本当のことをしつこく聞き出そうとしなかったんだろう。


顔色を伺って、自分の思っていることばかりぶつけて、泣いて……。



無邪気に遊んでいる自分の子供を見ていて分からなくなる。


今が正解なのか……。



「ただいま。今日は暖かかったな」


「おかえりなさい。暖かかったから公園に行って遊びましたよ。
あの、ちょっとこの子を見ていてくれませんか?まだ晩御飯を作るのが途中で……」



夫が仕事から帰って来てから妻と母親という役割をして気が張り詰めている間は過去を悔やんでいる余裕はなかった。


可愛い子供に優しい夫。


夢見ていた幸せな家庭がここにあるから悔やんでいる余裕なんて必要ない。



だから、早く忘れられるように公園で別れる時“さようなら”と言ってくれれば良かったのに……。


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