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アムネシアは蜜愛に花開く
第4章 Ⅲ 突然の熱海と拗れる現実
 
「アムネシアが出資しているホテルがあり、そこを保養所として食事がついて一泊三千円で安く借りられるんです。わたしの名前を出せば、特別室をその値段で使えます」

 突然の申し出とその値段に、怜二さんだけではなくわたしも驚いた。

「いいんですか? 実は私達もゆっくり旅行に行きたいねと話をしていまして」

 え、そんな話をしていたことあったっけ?
 記憶は定かではないが、怜二さんが嬉しそうに言う。

「僕達も同行してもいいですか? 僕と由奈」
「え……」

 怜二さんは明らかに動揺したようだった。

「僕達もちょうど、旅行に行きたいと話をしていて。結婚する前に熱海でゆったりとしたい。勿論寝所は別々で隣です。部屋の中にも風呂があるんですよ」
「それは……いいですね」

 怜二さんと由奈さんがセフレと告げていたのに、巽は一体なにを考えているの?
 それに巽が好きだと気づいたわたしは、隣室で巽が由奈さんを抱いているのが聞こえでもして来たら、平常心ではいられない。
 巽が香水をつけて帰ってきた昔より、絶対に受ける傷は深い気がする。
 
「では、今夜から泊まりでもよろしいです? 二泊予定で。藤城さんも」
「こ、今夜から二泊もですか!?」

 気づいたら話は進み、唐突な話ばかりが付け加えられて、面食らう。

「ええ。今夜は花火大会があるんです。由奈が行きたいと言っていまして」
 
 由奈、由奈、由奈。
 やはり巽の中心は由奈さんだと思えば、心がどす黒いものに覆われてしまう。

「ここを五時に出て、東京駅から電車に乗れば約一時間。七時からの花火には十分間に合う」
「連泊する支度をしたいんですが、家に戻る時間は……」
「藤城さん。向こうに化粧品もなにもかもすべて揃ってます。だから手ぶらで大丈夫です」

 為政者のような目をした巽は、なにがなんでも強行する気だ。

「ら、来週では……」
「来週は花火がないんですよ。しかも今日は浴衣の貸し出しもしていて、こういうのは女性なら喜ぶと思うんですよね」

 花火くらい熱海ではなくても、都内で有名な隅田川にでも行って見ればいいじゃない。
 何歳よと突っ込みたいのを我慢していれば、怜二さんは巽に同調してしまった。

「わかりました。今日から温泉に泊まろう、な?」

 怜二さんが乗り気なら、わたしは渋々頷くしか出来なかった。
 
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