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アムネシアは蜜愛に花開く
第3章 Ⅱ 誘惑は根性の先に待ち受ける

「ああ、あああっ、巽、駄目、巽……」

 巽の頭を引き剥がそうにも、気づけば巽の頭を撫でながら、はしたなく両足を広げて喘ぐわたしから、巽は内股に垂れた蜜も見逃さずに、すべて舐め取ろうとする。

 熱を帯びた目を細め、色香を漂わせる蠱惑的な笑みを浮かべる巽が、音をたてて羞恥の部分をに貪りつく様はまるで肉食獣のよう。

 巽にこのまま食べられたいという気持ちと、理性との狭間で泣きたくなる。

「たつ……みっ、駄目、ねぇ、駄目ったらっ」

 巽は細めた舌でわたしの秘粒の皮を剥きながら、蜜口を触っていた指を蜜口の浅瀬で抜き差しをする。

「ここ……こんなに固くさせて、中は俺の指を喜んで咥えて、凄く涎垂らしてる。んん……可愛い」

 粒を舌で愛撫しながら、ずぷりと蜜壷の奥まで入れた指をじゅぶじゅぶと音をたてて抽送してくれば、わたしの身体に走る快感の電流が強くなり、快楽の坩堝に呑み込まれるようにして、呆気なく内股を震わせて達してしまった。

 巽が顔を上げ、妖艶な眼差しでわたしを見ながら、濡れた中指をエロティックに舐める。それを見ただけで、達したばかりの身体がカッと熱くなって濡れてくるため、巽から目をそらしたが、巽から発せられた言葉は揶揄ではなく気弱なものだった。

「十年前、暴走して……無理矢理お前の初めてを奪ってしまってごめん」
「たつ、み……」
「でも、俺はずっとお前を抱きたかった。抱いたことに後悔はしていない。たとえお前に嫌われても」

 巽の片目から、涙が一筋こぼれ落ちた。

「俺も女を抱いたのは、お前が初めてだったんだ」

「嘘……っ」
「嘘じゃねぇよ。夜遊びまくって、際どいところまでいったことはあったけど、挿れようとしたら萎えた。勃てなくて随分と笑われたりもした」
「ど、どうして……」

 巽は鼻で笑う。

「俺は、嫌いな女には勃たねぇよ。それで察しろよ。鈍感」
「え……」

 わたしは、猛る巽に貫かれて処女を喪失した。
 嫌われていなかったということ?
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