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アムネシアは蜜愛に花開く
第3章 Ⅱ 誘惑は根性の先に待ち受ける

「とにかくこれは没収。それとこんなもん、買うな。後々どんな副作用出るかわからねぇぞ?」
「没収されるのは駄目だって。それが命綱なんだから!」
「無理。お前、そこが爛れてきたらどうするんだよ。病院に持参して、今俺に話したことを説明できるのか!?」
「え……」
「こんなものつけねぇとセックス出来ない男は、お前が好きな奴じゃねぇから! そんなもん、身体が嫌がっているんだろうが。俺から言わせれば、売られて不特定多数の男とヤル女の必需品だぞ?」
そう言われれば、わたしはしゅんとなるしかない。
「なあ、アズ」
長い沈黙の後、巽がわたしの顔を見上げてくる。
「お前が濡れないような男と別れるか、お前が濡れるようになるか、どっちがいい?」
妖しげに揺れる黒い瞳で。
「そ、そんなの濡れるようになった方が……」
「だったらさ」
巽はとんとわたしをベッドに押し倒すと、身体を伸ばしてわたしの足を両側に開く。
「俺が、お前を濡れる身体にしてやる」
巽が妖艶な表情で笑うだけで反応してしまうわたしは、既に巽とのキスだけに濡れているという事実を知られたくなくて、必死で拒む。
元義姉の誇りにかけて、露見するわけにはいかないのだ。
「な、なっ!! いいからそんなの! そこから出て行ってよ! お願いだから、出て行って下さい!」
わたしの股の間にいるのが初恋の男なのか、同胞の命を握った専務なのか、わたしを嫌って抱いた義弟なのか、混乱してよくわからず、命令なのか懇願なのか判別出来ない悲鳴じみた声を出して抗う。
「無理。元お姉様の悩みには、元弟が立ち上がらなきゃ駄目だろ?」
目が笑っていないよ、専務様。
そんなに肉食獣のようなぎらぎらした眼差し、いりませんから!

