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アムネシアは蜜愛に花開く
第2章 Ⅰ 突然の再会は婚約者連れで

「……ねぇ、話戻るけど、香代子もあの専務が巽だと知らなかったということは、キツいって香代子が言ってたの、他にどんな意味があったの?」
――そりゃあ、ぶっ倒れるほどキツいわよね。
「おおっと、脱線しすぎたね。もしかして覚えてない? ルミナス社員が、今月末までに実力主義らしいタツミィのお眼鏡に敵わなければ、首を切られそうになっていること」
「なにそれ!」
今月末まであと十日を切っている。
わたしが巽の出現に呆然となっている間に、そんな酷い事件が起こっていたなんて!
「そんなの、わたし真っ先に首切られるよ! わたし、広報企画部の落ちこぼれだもん!」
「威張って言うな!」
デコピンで突っ込まれてしまった。
「あ~、杏咲ちん、タツミィの衝撃に、まったく聞いてなかったんだな」
「まったく、その通り。うわー、なにそれ。腹立たしいわ! ルミネス社員を路頭に迷わせる気で、統合されることに、うちの社長はそれでいいわけ!?」
「同感よ。で、それに対して、人望厚い我らが広瀬氏が代表して異議を申し立てたのさ。ちょっと待てと。なんだそりゃ、こちとらプライド持ってルミナス製品を盛り上げてきたんだ。アムネシア視点で首を切るなど、お前何様なのよ、と。まあもう少し柔らかく丁寧だったけれどね」
怜二さんは、本当に他の社員思いな人情派だ。
そりゃあ怒っただろう。

