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記憶の彼方に眠る恋
第4章 再会

紗友莉はしばし、拓麻の部屋にあった卒業アルバムをめくりながら想い出話をしていたが、どうやら拓麻の記憶を呼び起こす兆候は残念ながら一切見受けられなかった。
紗友莉の話が一段落すると、拓麻が少し落胆の色を表情に浮かべて言う。
「うーん、俺にとっては初めて聞く話としか思えない話ばかりだ。紗友莉と一緒に、高校まで過ごしたっていうのは、紛れもない事実なんだよな?」
「うん、そうだよ。……ほら、このアルバムの写真にも、拓麻がいるでしょ」
「そうなんだよなぁ。母さんからもいっぱい写真を見せてもらったけど、どう見ても全部俺だ。いや、笑われるかもしれないけど、今の俺にとっては、つい数日前、この世に生まれたばかり……みたいな気持ちなんだよなぁ」
「笑わないよ……」
紗友莉は悲しくなってきて、うつむく。
拓麻はいっそう明るい声色で言った。
「ま、起きてしまったことをくよくよしても仕方ない! 記憶を取り戻すために頑張るしかない。で、高校卒業後は、紗友莉と俺の仲はどうなってたんだ? 母さんから聞いた話では、うちの家の親戚がアメリカに住んでいた縁で、俺は建築の勉強のために渡米したとかいう話だけど」
「あ、うん、だから日本にいる私とは、主にメールや手紙でのやり取り中心の友達関係だったかな」
「恋人関係ではなく?」
紗友莉の話が一段落すると、拓麻が少し落胆の色を表情に浮かべて言う。
「うーん、俺にとっては初めて聞く話としか思えない話ばかりだ。紗友莉と一緒に、高校まで過ごしたっていうのは、紛れもない事実なんだよな?」
「うん、そうだよ。……ほら、このアルバムの写真にも、拓麻がいるでしょ」
「そうなんだよなぁ。母さんからもいっぱい写真を見せてもらったけど、どう見ても全部俺だ。いや、笑われるかもしれないけど、今の俺にとっては、つい数日前、この世に生まれたばかり……みたいな気持ちなんだよなぁ」
「笑わないよ……」
紗友莉は悲しくなってきて、うつむく。
拓麻はいっそう明るい声色で言った。
「ま、起きてしまったことをくよくよしても仕方ない! 記憶を取り戻すために頑張るしかない。で、高校卒業後は、紗友莉と俺の仲はどうなってたんだ? 母さんから聞いた話では、うちの家の親戚がアメリカに住んでいた縁で、俺は建築の勉強のために渡米したとかいう話だけど」
「あ、うん、だから日本にいる私とは、主にメールや手紙でのやり取り中心の友達関係だったかな」
「恋人関係ではなく?」

