この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
記憶の彼方に眠る恋
第4章 再会

直球すぎる告白が、紗友莉の心を一気に貫いた。
拓麻は力強く、それでいて、いたわるかのように優しく、紗友莉を抱きしめたまま、その耳元で囁くように尋ねる。
「紗友莉はまだ結婚してないって、母さんから聞いたよ。今、恋人はいる?」
紗友莉は声を絞り出そうとするが、なかなか上手くいかない。
既に心臓は早鐘のように打ち、全身が痺れるような幸福感を、紗友莉の全身に行き渡らせている。
ただ、拓麻の問いかけを無視するわけにはいかず、紗友莉は正直に「いないよ」と答えた。
「じゃあ、何の問題もないわけだ……! よかった……!」
喜び溢れる声色でそう呟くと、拓麻はいっそう強く、紗友莉を抱き寄せてきた。
紗友莉がそっ見上げると、拓麻の端正な顔には穏やかで優しく、それでいて裏に潜む激情を隠しきれないような、そんな表情が浮かんでいる。
心を奮い立たせて、紗友莉が言った。
「で、でも……。拓麻には……婚約者さんが……いるから……」
「じゃあ、俺は、好きな女である紗友莉を諦め、好きでもないその婚約者と結婚すべきだと、紗友莉はそう言ってるんだな? その婚約者……平等院さんだか、正倉院さんだか、よく知らないけど、そんな名前の人と」
「んっと……拓麻のことをそういう風に突き放してるわけじゃなくて……! で、でも……えっと……拓麻は私のことも忘れてるんでしょ……」
拓麻は力強く、それでいて、いたわるかのように優しく、紗友莉を抱きしめたまま、その耳元で囁くように尋ねる。
「紗友莉はまだ結婚してないって、母さんから聞いたよ。今、恋人はいる?」
紗友莉は声を絞り出そうとするが、なかなか上手くいかない。
既に心臓は早鐘のように打ち、全身が痺れるような幸福感を、紗友莉の全身に行き渡らせている。
ただ、拓麻の問いかけを無視するわけにはいかず、紗友莉は正直に「いないよ」と答えた。
「じゃあ、何の問題もないわけだ……! よかった……!」
喜び溢れる声色でそう呟くと、拓麻はいっそう強く、紗友莉を抱き寄せてきた。
紗友莉がそっ見上げると、拓麻の端正な顔には穏やかで優しく、それでいて裏に潜む激情を隠しきれないような、そんな表情が浮かんでいる。
心を奮い立たせて、紗友莉が言った。
「で、でも……。拓麻には……婚約者さんが……いるから……」
「じゃあ、俺は、好きな女である紗友莉を諦め、好きでもないその婚約者と結婚すべきだと、紗友莉はそう言ってるんだな? その婚約者……平等院さんだか、正倉院さんだか、よく知らないけど、そんな名前の人と」
「んっと……拓麻のことをそういう風に突き放してるわけじゃなくて……! で、でも……えっと……拓麻は私のことも忘れてるんでしょ……」

