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八重の思いー私を愛した2人の彼氏
第5章 不安

「それで良いのかな? 三苑さんにも、結婚し出産する権利はある。それをみすみす逃してしまうことになりかねない」
「今はまだ……。飲んでいないと私が不安なんです。もう二度とあんなことにならないように、そのためでしたら私は一生独身でも構いません」
「彼氏が出来たと」
「今はです。それもいつどうなるかなんて分からない、本当の私を知れば離れていくかも知れない。私はなにも話していませんから」
「そう。三苑さんの心の持ちよう、これだけは言っておくよ」
「……はい……」
そう私は二人に、なに1つ教えていない、教えることが怖い。この街に来る前の私が辿った道は、二人には知られたくないの。
いつかは話さなければダメだって理解はしていても、心がこんなにも悲鳴を上げる。
……過去を封じることが出来ればいいのに……。
先生の処方で注射を1本打って貰い、その頃には婦人科のほうも薬の処方が出来上がっていた。
「お大事に」
「いつも、ありがとうございます」
後は薬を貰えば用事は終わる。今は院外薬局だから、外に出て薬局へと移動、山ほどの薬を貰い、漸く私は安定して帰路に付くことになる。
(体調不良と吐き気は治まったけれど……)
帰る先はあのマンション。蓮さんと陸さんを見て、また吐き気が来なければ良いんだけど、こればかりは私でも分からない。
「……あ、コンビニに寄らなきゃ」
私が週に一度必ずするのは、コンビニに寄って小さいサイズのミネラルウォーターを7本買うこと。
薬を飲んでいる姿を二人には見せたくない、そんな思いから始まった習慣。それで良いの。

