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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第17章 彼なりのケジメ

涙と口紅が彼の真っ白なワイシャツに付いてしまったみたい。
だけど……それを気にする余裕なんて今の私には全く無かった。顔を上げてFBKとテヒョン、六人の瞳を見つめる。
「イルトのアボジが居る前でこんな事言うのって凄い失礼だと思う、だけど私のこの失礼に対して──少しだけ目を瞑って下さい。」
「……アンタら五人はマフィアの子、テヒョンは婚外子だった。」
「それだけ聞くと、全然違う世界の子同士に思えるけれど自分の生い立ちに自信を持てない思春期が有ったり、それを胸張って言えないもどかしさを抱えて生きてきたことは同じだと思うの。」
「……何、言い出すんだよリサ。おいジェジュン、止めろよ」
「良いだろ、アリー。事実なんだし……これがヌナの気持ちなんだよ。」
「確かにマフィアは人を地獄に落としているし、そのお金で家族や若い衆を養ってる。」
「帝国もマフィアみたいなもんよ。人や会社のプライドを『買収』という手を使って尽く壊してきてる。」
「……普通なら、そんな大人が近くに居て尚且つ胸張って自分の境遇を言えないなんてなれば、ハンソン兄弟みたいに荒れ狂うのが当たり前だわ。」
「ましてや、テヒョンにしろアンタ達にしろお金の面で"頼る場所"は有ったワケなんだから、ね。」
「でもアンタ達は──確かに、女を死ぬほど泣かせてきたかもしれない。誰かの為に人を殺したかもしれないし、誰かの為にとある財閥を潰そうとしたかもしれない。ありとあらゆる手を使って──それを隠蔽したかもしれない。」

