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第19章 月に叢雲花に風

「先輩名言３７！！」

まだ続いてたんか？
長ぇな

「好きな子には優しく！！」

「なるほど！！」

なるほどじゃねぇよ
多田馬鹿
只、馬鹿
当たり前のことしか言ってねぇだろが
何楽しそうに聞いてんだよ

「好きな子には素直に！！」

「なるほど！！」

信さんもネタ尽きてきてね？ホントにそれ、先輩が言ったのかよ？
思いついたまま感半端ない当たり前の事だっての！！
好きな子には優しくするのも、素直に・・・？素直に・・・なんのも・・・
当たり前で・・・
俺・・・素直になった事あったかな？
優しくはしてきたつもり
だって好きだから
素直？
どこまでが？
素直に言ったら受け入れてくれんの？
ただのスケベで終わるんじゃね？
素直に好きだって言った
（めちゃくちゃ時間かかったけど）
素直に抱きしめたいって思った
（めちゃくちゃ時間かかったけど）
素直に・・・キスした
（そしたら・・・それ以上の事がしたくなった）

素直＝正直？

正直に自分の欲望を吐き出せば・・・伊織に嫌われそうだもん
言えねぇよ
嫌われたく・・・ねぇもん・・・

「先輩名言７７！！」

早いって！！
さっき３０何とかだっただろうが！！
あれ？
俺、聞き逃して惜しかったとかって思ってる？
イヤイヤ・・・必死で先輩の名言だと思って聞いてんのは多田だけだし？
ってか・・・よく喋んな

「光陰矢の如し」

それは・・・まぁ・・・うん。
俺は伊織と過ごして出会った事がさっきの事かの様に思えるけど・・・
そっか・・・
もう・・・俺ら高校生で・・・やっとカレカノになれたんだよな
あっという間・・・だな

「一期一会」

そうだな・・・
俺もそう思う
出会いは大事で伊織以上に大切に思える人なんていない
伊織に出会ってなかったら・・・
俺は・・・どうなってたかな？
ってかさっきからどっかで聞いた事ある言葉しか言ってねぇ気がすんだけど・・・
信さんが適当な感否めないけど？
もしかして信さん馬鹿だから先輩が勉強教えてた名残じゃね？

「高橋君？聞いてた？先輩名言集」

「はい」

正直・・・所々でしか聞いてませんでしたけど？
正直に言えば多田が怒りそうだし？
俺、そこまでＫＹではないし？
適当に返事しとこ

「あっそう？ならいいけどね～～。じゃあ次ね」

「はい。お願いします」

適当に返事した

「・・・月に叢雲花に風」