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第19章 月に叢雲花に風

「師範の名言！！聞きたいです！！」

おいっ！！多田の馬鹿！！
只の馬鹿！！
俺、上手い事言った
心の中のツッコみ・・・

「いいよ～。聞かせてあげるよ～？」

信さんのニヤケ顔・・・ムカつきますね
多田の期待感、満載の顔・・・見てらんない
どんだけお前ら先輩ラブなんだよ？

「二番目聞く？」

「よろしくです！！」

俺は聞きたくないから・・・
これ以上・・・
先輩と比べて惨めな思いはしたくないから・・・

心の中で伊織の事を考えた
伊織が俺に言ってくれた言葉の名言集を思い返した




「初めまして！！よろしくね！！伊織です！！」
好きにならない訳がない
笑顔かわい
一目惚れ。俺の初恋

「一緒にかえろ？」
こちらこそ

「一緒に帰ったら・・・後であそぼ？」
勿論です

「今日、部屋行くね！！おいしいおやつあるんだよ！！」
好きです

「・・・サッカーしないの？」
俺・・・上手くないし？

「練習してたのいつも見てたよ？」
俺だって・・・いつも見てるよ？

「ジャニーズのチケットとれなかった・・・」
俺が取ってやるよ。なんとしてでも！！

「足が・・・痛いの・・・」
泣くなって・・・俺のサンダル貸すからさ？ほんで・・・絆創膏、買ってきた
リンゴ飴も買ってきた
伊織が好きだって言うから
後さ？
浴衣・・・
似合いすぎて堪んない
俺以外に見せないで

必死で勉強して高校受験
受かった時は涙の伊織
俺より泣くからどさくさに紛れてちょっとだけ抱き締めた

一緒の高校。
嬉しかった
嬉しくて・・・
嬉しかった

「・・・」
なんで何も言わなくなった？
虐められてるの？
伊織、可愛いから？
許せなくない？
気付かなかった俺・・・アホですか？

ここで、さっきの信先輩の気持ちが理解る
伊織の文句は俺に言え。だ！！

知らなくてさ？
お前の教科書
落書きだらけだって事
お前が一人で昼飯食ってた事
お前の休み時間が地獄だったって事

知らなくてさ？
ごめんな？

もっと・・・
もっとさ？
伊織に頼られる俺でありたい

そう思っててさ？
新学期の新年度。
伊織とまた同じクラス
そしたらさ？
そしたらさ？

伊織・・・友達見つけてさ？
良かったって思う反面・・・俺のヤキモチ嫉妬がさ？

伊織が友達見つけて喜んであげたかったのに・・・
俺だけが伊織を助けられると思ってた
思いたかった