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第18章 水心あれば魚心

「ゆ、優君？」

突然抱き締めた俺を戸惑いながら上目遣いで見上げる彼女

「俺の勘違いだった・・・ごめんね？」

離したくなかったけど・・・
めっちゃどさくさに紛れて離したくなかったけど！！
自分がどれだけ変な事をしてるのかは理解してるから・・・

突然抱き締めて彼女を戸惑わせてるのかは理解ってるから・・・
そっと・・・
彼女から離れた

「・・・転びそうになったんじゃないかって・・・思って・・・」

「・・・そうな・・・んですね」

むしろ転んでくれたら・・・
俺が助けるのにって・・・
思って・・・
着ぐるみ相手にヤキモチ妬くのも誤魔化せれるかなって思って・・・
しょうもない・・・
みっともない・・・
彼女を独り占めしたい
自分の情けなさを誤魔化せたらいいなって・・・

あの時のさ？
最初に・・・
君が河川敷で転んだ時にさ？
助けた君が可愛くてさ？

その・・・
もう一回・・・
助けて・・・

その・・・
あの時の・・・
君の・・・
俺に向けるあかい顔を・・・

見たかったんだ

今回は俺のヤキモチであったよ？
着ぐるみの中の人物が君に恋をしたら嫌だな
って思ったよ？

それが、おっさんでも若くても・・・さ？

要するに・・・
君がキティちゃんであれスヌーピーであれ・・・
君がさ？
そんな甘い顔で・・・
そんな声で・・・

強請るのは・・・

俺だけにして欲しかったんだよ

・・・独占欲っての？
俺にもあったわ

直哉をからかってたけどさ？
俺にもあったよ。

だからさ？
鞄の中のスマホが震えてる事にも気が付かないよ
彼女に夢中だったから

紺野さんと直哉がどうなったかは後で・・・
それでいいだろ？

俺は目の前の彼女をどうしたら本物の彼女に出来るか
・・・で、頭がいっぱいでさ？

師範に聞いておけば良かったなぁ・・・
恋愛のノウハウ
師範だったらきっとさ？
俺が言えもしない言葉が・・・
こんな時スラスラ言えんだろうな

例えばだけど・・・

（着ぐるみなんかより・・・俺と写真を・・・撮らないか？）

的なさ？

そんなセリフ

・・・師範だったら言えんだろうなぁ
・・・俺には言えない

・・・だから辛くて
・・・情けない

こんなに好きなのに・・・
どうして・・・
どうやって・・・
言葉にしたらいいのか理解んないんだよ

「好きだ」

って・・・
言いたいのに