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第17章 隣の芝生は青く見える

俺は膝を抱えて子供みたいな楓に近づいた

「デリカシー？っての？はっきり言って、何それ？美味しいの？なんだけど・・・」

「・・・」

「・・・俺さ？マジでおま・・・楓が言う様に恋愛初心者で女心がわからんから・・・教えてくれると有難い」

そっと、楓の肩に手を置いた

「・・・彼女で居る自信がないの・・・」

「え？」

それ・・・
別れたいって事？

「ごと・・・信の彼女で居たいのに・・・わからなくなっちゃうの・・・」

まだ、すぐに「信」って言えない楓
膝を抱えて・・・
泣いてる？

「・・・ユキさんや・・・他の子達みたいに可愛くないから・・・自信がないの・・・」

楓が膝を抱えて大きく泣いた


「・・・楓・・・」

俺は楓を抱きしめた

「・・・」

「・・・どうしたら信じてもらえるかな？馬鹿でアホな俺が・・・どうしたら楓を好きだって・・・愛しいと思ってる事を・・・」

「・・・美人だもんね」

楓が呟く

「・・・え？」

「・・・可愛い子が居るから・・・私を放って行くの？」

「・・・置いて行ったと思われてたら謝りたい。ごめん。」

「わ、私は・・・ユキさんみたいに美人じゃないし・・・」

「・・・楓は俺の彼女。可愛い。」

「うそ・・・」

「ってかさ？ほんと何なの？昨日だってライン送ったのに返信ないし・・・」

「男の性（さが）なんでしょ？」

「だから・・・何の話？」

「美人だったら、浮気にならないんでしょ？」

「楓・・・落ち着け？」

「ごめん・・・帰る」

「え？ちょ・・・まっ・・・」

「嫌なの・・・」

いやなの・・・
俺の頭の中で楓の言葉が響き渡った
引き留めたくても俺の手が・・・声が出なかった

パタンと締まったドア
追いかける事も出来ない俺

焦り過ぎたのか？
せっかくのデートに部屋へ誘って・・・
やりたい下心を出し過ぎたのか？

彼女居た事ねぇからどの辺りが嫌だったのかわからん
俺なりに頑張ったつもりだったけど・・・
部屋を綺麗にしたつもりだし？
エロ本片づけたし？
もしかして部屋が臭かったのか？
ま、まさか・・・ゴムが見えてて盛りのついた雄が丸出し・・・
ホッ・・・良かったちゃんとしまってある

嫌って・・・何が嫌だったんだよ？

俺のさっきまでの高揚感は音を立ててしぼんでいった