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第17章 隣の芝生は青く見える

「・・・紺野さんが羨ましいの？」

「はい・・・少しだけ」

「なんで？」

「た、高橋君にお土産を渡した時に、伊織ちゃんが「いいなぁ」って呟いて・・・高橋君が強引に連れて帰っていって・・・こ、恋人同士なんだなぁって思って・・・」

啓介さんがジッと私の目を見つめながら少し離れた

「それで羨ましいって思ったの？」

「だって・・・そんな伊織ちゃん見た事なかったですし・・・高橋君にだけ見せる顔と言うか・・・あっ！！私はそんな可愛い伊織ちゃんを見れる高橋君が羨ましかったのかも知れません！！」

「・・・そっか。・・・何でもない」

「な、何ですか？言いかけて止めるなんて気になります！！」

今度は私が啓介さんのシャツを掴んで聞いた

「その場に優も居た？」

「え？ええ。置いてけぼりな感じで二人で見送ってましたから・・・それに、多田君も急いで帰っちゃいましたし・・・」

「このはは羨ましかったんだ？幼馴染カップルが」

「え？ええ。だってあんなに可愛い伊織ちゃんを見れるなんて」

「きっと・・・多分・・・絶対・・・皆はこのはの方が羨ましかったと思うよ」

「え？」

「さっき、言いたかったのは・・・このはが皆から羨ましがられてるか自覚してる？って事、聞きたかったんだ」

「ど、どうして？あっ！！ユニバに行ったから？」

「それもあるだろうね」

「う～ん。あとは・・・何だろ？」

「俺も紺野さんが羨ましいよ。俺の知らないこのはを見れるから」

意味ありげにクスクスと笑う啓介さん

「・・・なら・・・私は・・・お義父さんを羨ましく思いますよ？」

「親父？」

「私の知らない啓介さんを知ってます」

「こき使われてボロボロな姿を見られたくはないかな？」

思い出して苦笑いをした

「私も先生にあてられて答えられなくて・・・焦った姿を啓介さんに見られたら・・・恥ずかしいです」

「授業を聞いてなかったの？」

「・・・ぼ、ボーっとしてて・・・」

「何考えてた？」

「・・・」

「俺の事だったら嬉しいけどね」

「啓介さんの事は・・・いつも考えてます」

「・・・証拠・・・見せて？」

「どうやって？」

「簡単だよ。こうすればいい」

啓介さんの熱い吐息と柔らかな唇が私を塞いだ

「んんっ・・・」

いつもの声がいつもの通り出てしまって恥ずかしい