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隷吏たちのるつぼ
第5章  第四章 口開く陥穽
 そして、

「明日もあの女をヤリまくってやるから、ちと寝るわ」

 と言って、智咲のベッドで大の字になった。

(なんで……?)

 罪を犯したら罰が与えられるはずなのに。

 智咲は早々鼾をかきはじめた征四郎のズボンの前に手を伸ばしたい誘惑と一晩中闘って、主人が目覚めるまでずっと待っていた。体力が回復したら、まず目の前にいる自分を組み伏してくるかもしれない──。しかし期待は裏切られ、起きた征四郎は顔も洗わず、歯も磨かず、もしかしたら自分のことも見えておらず、今日ふたたび姦辱せんとする標的へもはや思いを馳せて、鼻歌を歌いながら出て行ってしまった。

 静寂とした部屋に残された智咲は、ベッドへ突っ伏した。

(ううっ……)

 ふて寝もできなかった。目を閉じるのだが、無意識のうちに手がショーツの中に入り込んでいた。一晩中待っていた花唇は下着の前後をグッショリと濡らしている。眠気はあるのに指が止まらない。征四郎に通姦されるまでは考えられなかったのに、蜜にまみれた牝の穴へ指を差し入れ、襞を丁寧に、しかしはしたなく弄くった。

「やっ……、んんっ、……お、おしおき……」

 うつ伏せになり、畳んで嵩を作ったブランケットへ顎をつくと、指を埋めたヒップを真後ろへ差し出した。

 尻肌は虚空と向き合っただけだった。

「おしおき……、ううっ……、……やああぁっ!!」

 ブランケットを噛んで何度も叫び、時間を忘れて股間をまさぐっていると、携帯が震えた。征四郎からかと飛び起きたが、太一からのメッセージだった。

『今日、これから飲みに行かない?』

 半裸のまま、何と返すか迷っていると、

『二人で』

 フキダシがもう一つ並んだ。

 駅前で待ち合わせた。チェーン店の居酒屋を選んだ太一は役所の話を一切しなかった。太一の学生時代の部活の話や、話題の音楽、映画の話。智咲も横浜や東京の話をした。
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