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隷吏たちのるつぼ
第5章  第四章 口開く陥穽
 自分を悩ませていた物の悪辣な形に蒼然としたら、今度は後ろだった。背後の管の先からチュルルッと冷たい液体が注入されてくる。

「うっ!? ……ううう」

 背に寒気が走り、机についていた腕が鳥肌となった。

 液体は直腸へチュルッ、チュルルッと段階的に注がれてきた。何をされたのか、もちろんわかる。前の器官を苦しめていた物が去ったというのに、後ろから、それを上回る虐辱を受けることになったのだ。

「ちょっと資料室行ってくるよ。……えーっと、前の発注って何年だったっけなあ」
 課長補佐が呟きながら対面を通り過ぎ、「日下さん。顔色悪いよ? 早く帰りなよ、ほんと」

 部屋を出がけに忠告した。早くも括約筋を強襲されていた悠香梨は、ただ頷くことしかできなかった。

 再び二人きりになると、征四郎が机の下から這い出てくる。

「あーあー、潮でベチョベチョだ」

 まず座席の下の惨状を嗤われるあいだも、悠香梨は下腹を両手で抑え、前屈みに固まっていた。

「な、にして、くれて……、んのよ」
「何って、見たまんまだよ、まんま。鍵かけられてたから昨日から便所に行けてねえだろ? 便秘になってキレイなお肌が荒れたら大変じゃねえか。クク……、おら、立てよ」
「やっ」
「立て」
「ううっ……、や、やめてっ、う、うごかさ……」

 無理に立たされて腹部の負荷が強まる。何とか膝に力を入れようとしていると、ワンピースを捲られ、

「わっ、ちょ……、いやあっ!」

 まだ抜かれていなかったチューブが引っぱられ始めた。

「大きな声出すなって。資料室まで聞こえるぜ?」

 嘴管は迫り来る濁流を止める括約筋の補助にもなっていた。栓がなくなりゆく不安が冷気となって背すじに襲いかかる。

「抜けるぞ。ケツに力を入れろ」
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