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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第26章 運命は・・・先着順?

いつになく、落ち着きはらった
おしとやかそうな雰囲気で
周囲に語りかけるように
ヤツは話し始めた
隣に座るマリアの…その表情が
ギョっとしたように
一瞬だけ強張ったのが
俺にはわかった
コイツが…何を言い出すかわかっている
おそらくマリアは
そんな心境だったと思う
『和樹っ!?何を言うのよっ?!』
すかさず姑は猛抗議…
それもおそらくは・・・
『母さん…悪いけど少し静まって下さい』
『~~!!!』
『人間・・・誰しも過ちはあります』
スピーチでもおっ始めるのか?
みてぇな口調
『人の長い人生には…誘惑や過ちなど
数知れず存在するものでしょう
それは確かに…どんな過ちでも
おいそれと許すとは申しません
ですが…生涯を共にしようと
私が決めた…たった一人の妻ですので…』
一同静粛・・・
聞き入るように、弁護士も皆が
その語り手に注目した
その周囲の引き込み方は…完璧だ
『仕事を理由に
家を空けてしまいがちな私にも
その責任の一環はあります
妻は昔から…寂しがりな性格ですので
それを知りながら、今一つ
妻に対して至らぬ夫であった私にも
その責任はあると…考えております
決して…妻だけが悪い訳ではない、と』
旦那が仕事三昧で寂しくて浮気した?
マリアは…そんな女じゃねぇよ
虫酸の走る俺を残して
周りはその熱弁に心酔していく
『家族の為…身を粉にして働く
それが妻のために一番大切だと
ですが…一方で
妻に一人、寂しい思いをさせて
本人らしからぬ誘惑に浸るような
事を招く結果となりました
勿論…私自身、大きなショックを受けました
これから、と言う時に…なぜ、と
何日も…眠れない夜を過ごし
悔い改めようと…随分と悩みました
ですが…私達、夫婦にとっても
お互いを改め直す良い機会と思い
受け止め…受け入れて
妻とやり直す道を選びました』
冷めざめした目で
あるいは驚愕とした目で見ているのは
俺・・・、と…マリアだけ
マリアに関しては
冷めざめどころか
逆の意味で豹変しているその姿が
恐ろしくてたまらなかったのでは
ないだろうか…
おしとやかそうな雰囲気で
周囲に語りかけるように
ヤツは話し始めた
隣に座るマリアの…その表情が
ギョっとしたように
一瞬だけ強張ったのが
俺にはわかった
コイツが…何を言い出すかわかっている
おそらくマリアは
そんな心境だったと思う
『和樹っ!?何を言うのよっ?!』
すかさず姑は猛抗議…
それもおそらくは・・・
『母さん…悪いけど少し静まって下さい』
『~~!!!』
『人間・・・誰しも過ちはあります』
スピーチでもおっ始めるのか?
みてぇな口調
『人の長い人生には…誘惑や過ちなど
数知れず存在するものでしょう
それは確かに…どんな過ちでも
おいそれと許すとは申しません
ですが…生涯を共にしようと
私が決めた…たった一人の妻ですので…』
一同静粛・・・
聞き入るように、弁護士も皆が
その語り手に注目した
その周囲の引き込み方は…完璧だ
『仕事を理由に
家を空けてしまいがちな私にも
その責任の一環はあります
妻は昔から…寂しがりな性格ですので
それを知りながら、今一つ
妻に対して至らぬ夫であった私にも
その責任はあると…考えております
決して…妻だけが悪い訳ではない、と』
旦那が仕事三昧で寂しくて浮気した?
マリアは…そんな女じゃねぇよ
虫酸の走る俺を残して
周りはその熱弁に心酔していく
『家族の為…身を粉にして働く
それが妻のために一番大切だと
ですが…一方で
妻に一人、寂しい思いをさせて
本人らしからぬ誘惑に浸るような
事を招く結果となりました
勿論…私自身、大きなショックを受けました
これから、と言う時に…なぜ、と
何日も…眠れない夜を過ごし
悔い改めようと…随分と悩みました
ですが…私達、夫婦にとっても
お互いを改め直す良い機会と思い
受け止め…受け入れて
妻とやり直す道を選びました』
冷めざめした目で
あるいは驚愕とした目で見ているのは
俺・・・、と…マリアだけ
マリアに関しては
冷めざめどころか
逆の意味で豹変しているその姿が
恐ろしくてたまらなかったのでは
ないだろうか…

