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第26章 運命は・・・先着順？

「橘氏の受けた精神的苦痛に対する慰謝

及び今後のお二方の
関係を清算して頂く旨の

話し合いの場とさせていただきたく…」







『ま・・・待ってください』




ｶﾀ・・・




少し椅子がずれる音がして
音と、声の主に一同が注目した





『間違って・・・ます』






声をあげたのは
マリアだった






旦那と…和服姿の中年女性・・・

旦那の母親か

いわゆる・・・シュウトメってやつだ




苦虫を噛み潰したような顔で
チラチラと俺側とマリアを睨み付けてる
マリアの姑…


着物をサラッと着こなして
一見、品良く見えそうだが


…ぶっちゃけ息子と
マリアの旦那とちっとも似ていない

一般的に、比較的整った容姿であろう
マリアの旦那とは似ても似つかない

容姿…スタイルもまるで似ていない
絵に描いたような
随分と体格の良い…バァサン



旦那と姑に
押し潰される程の圧迫感と言うように
挟まれて座らされていたマリアが



意外すぎるほど意外に
小さく声をあげた






『意見書…・・・今の文章

間違って・・・ます』






『・・・』

〃マリア・・・？〃








「どこが…どう間違っているのですか？」




弁護士が即座に淡々と
マリアに聞き返した







『〃無理矢理〃連れ出した…
と言うのは違います』




「ﾊｧ……奥さん」



隠すようなふりをしながらも
わざとため息を交えたような返事をして

弁護士が呆れたような顔で
マリアを見た




『私は…子どもでもなければ
未成年者でもありません

まるで
誘拐でもされたかみたいな

そのような…言い方は
違うと思います』




何を…言うのかと思えば
そんな事を


俺にしてみたら
事実に相違ない事


気にする程の事じゃねぇよ
それも、この期に及んで


お前、自分の立場も考えろよマリア


余計な事言ったら…火に油だろうが



マリア・・・