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第29章 果たされぬ・・・約束

『好きでいる人同士が…
一緒になっちゃいけない、なんて

会っちゃいけないとか
好きになったらいけない、なんて

おかしいよ…エリカは絶対
おかしいと思う』





エリカが…あんまり真っ直ぐな目で

訴えかけてくるからさ…






『ふふ・・・ちっとも…似てねぇのにな？』





『え・・・？』






『見た目も…性格も…ちっとも
似ても似つかねぇのに・・・

そういう…バカ正直で、真っ直ぐで
わりと情にもろくて…人思いで

そんな所だけは…似てるかもな』






『ユウト？』






『お前にも…なんかしらの

縁でもあったのかもな？』






『・・・～』






似ていないけど…似ている








『だから・・・放っておけなかった』










『？？？』




俺の言葉に、エリカは当然
ポカンとして見上げていた







『〃初め〃は…ソイツが
その場しのぎ出来れば良い…そう思っていた

深く関わらない方が良いし
関わりたくねぇ、って

ちょうど…この間のエリカみたいにな』






『え・・・』







『そこで…留めておけば良かったものを

俺は・・・出来なかった』






人を好きになる・・・そこに

理由など…あってないようなものだ






『人知れず…苦しんで…
ずっと一人泣いてきた彼女を

自由にしてやりたい
俺は…そう思っていた

アイツが…アイツらしさを取り戻す
アイツが生きたい場所で
生きれるように、って』








『待って…ユウト

話…わかんないよ』









『彼女は・・・その夫から

暴力を受けていた・・・』









『えっ…』



エリカの顔面が…硬直したのが伝わる






『体にも・・・心にも

彼女は、無数に傷を負って

見えない所まで傷だらけだった

幸せになれると信じて

結婚したはずなのに・・・』







『っ・・・』







『俺は…アイツを解き放ちたかった

そんな地獄から…なんとか

アイツを自由にして

幸せにしたい・・・そう思っちまったんだ』






『・・・っ』







『だけど…それが

すべての〃過ち〃の始まりだった』