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終止符.
第14章 想い
奈緒はノースリーブワンピースの部屋着の上から薄いカーディガンを羽織り、髪を拭きながらバスルームから出た。

ジーンズに着替えた純がちょっと照れた顔で笑いかける。


「似合ってますか?」


オフホワイトの春物のニットはVネックで、大人びた純をよりセクシーに見せた。


「よく似合うわ、あなたは何でも似合うわ。背も高いし足も長い。ふふっ。」


「大事にします。」


「よかったわ…。まぁ、おいしそう。待たせちゃってごめんなさい。お腹すいたでしょう?」


奈緒はテーブルに並んだ二人分のスパゲッティを見ながら言った。

「あ、レタスがあるからサラダも出来るわ。」

奈緒は冷蔵庫を開けてキュウリとトマト、玉ねぎ、レタスを取り出しシンクで洗いだした。


「早く食べたいな。」

そう言いながら純が後ろから抱きしめる。

「ちょっ、ちょっと待ってて、すぐに出来るから…」


奈緒はすっかり慌ててしまい、洗っていたレタスを手から落とした。


「…早く奈緒さんが食べたい…」


奈緒の耳たぶを唇で挟みながら純が囁いた。

「ゃ─…」

首筋から足の先まで電流が駆け抜け、奈緒は息を吐く事が出来ないまま背中を純に預けた。


(キュッ…)


純が手を伸ばして水を止めた。


「ちょっと…純…」


「もう待てないよ。」


純の両手は奈緒の手を交差させながら前に回され優しく両腕を擦った。

唇が耳たぶから首筋に下りて、カーディガンをずらしながら肩を優しく噛んだ。

「純、ねぇ、ま、待って…」


奈緒は突然の純の欲情に戸惑い、首筋に掛かる熱い吐息と背中に感じる高まりに身体から力が抜け落ちそうになった。


「僕の事好き?」


純が頬を擦り寄せるように奈緒を覗き込む。


奈緒は甘えるような純の言葉に、改めて年下の男を感じ、とろけるような切なさが込み上げてきた。


「あなたが大好き…─ンっ…」


純は待ちきれなかったように奈緒の頬を横に向け、唇を押し付けるように重ねてきた。

その性急さによろける奈緒を正面から抱き寄せ、強く掻き抱きながら耳元で囁いた。


「あの人の事忘れて。」


「──…ッ…」


思わず見上げた純の瞳には冷静さと征服欲とが渦を巻き、それを純の熱情が隠しているかのようだった。


「─…純…」


奈緒の心が震えた。


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