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終止符.
第14章 想い
「純…い、今お風呂を沸かすから…部屋で着替えを…」

二人きりの空間で純に抱きしめられて、奈緒は焦って声が震えた。

狭い玄関のたたきに、雨に濡れた二人の身体から雫が落ちて、足元に広がってゆく。

純は濡れたネクタイをきつそうに緩めて外し、Yシャツを脱ぎ捨てた。


上半身裸になった純が奈緒を抱き寄せる。


「か、身体が冷えてるわ…」

「奈緒さんの身体も冷たい。」

純が少し身体をずらし奈緒を見つめて微笑む。

「あの…」

「ん?」

「あんまり見ないで…」

「どうして…」


「……ドキドキするのよ。」

「僕も。」

純は奈緒の両頬を手で包むように挟んだ。

「雨に濡れた奈緒さんに最初からドキドキしてました。」


「……」


奈緒は恥ずかしくて俯いていた。


「奈緒さん震えてる。寒いですか?」


「い、いいえ、…何だか怖いの。」

「僕が?」

「…わからない。」

純は嬉しそうに目を細めた。

「可愛いな。」

「と、とにかく…着替えるわ。」

ガラにもなく赤面する自分に戸惑う。


奈緒は濡れたスカートの裾を少しまとめてバスルームに行き、純にバスタオルを渡して自分も髪を拭いた。

「先に熱いシャワーを浴びてきて。」

「はい。じゃ、お先に。」


純がバスルームに入ったのを見てほっと一息ついた奈緒は、ベッドルームに行き着替えを済ませ、軽く髪を乾かした。


ふと、純の着替えがない事に気がつく。


「ねぇ、純っ。ちょっと待ってて。」

「えーっ?」

シャワーの音がするバスルームから純が返事をする。

「ちょっとお買物に行ってきます。」

「はーい。」


純の素直な返事にクスクス笑いながら、脱いだスーツを袋にまとめ、駅前のクリーニング店に出そうと自転車に乗った。

ついでに昔からあるらしい古いジーンズ屋に寄って、スーツのサイズに合わせたジーンズを買うことにした。


今まで純にプレゼントしたのはあのジグソーパズルだけだったが、これからは増えていくのだと、奈緒は嬉しかった。


今度の誕生日は何にしようかと楽しみを膨らませ、胸が高鳴った。


小さな幸せを大切にしたい。純を幸せにしたい。

奈緒はそう思いながら自転車をこぎ、雨上がりの新緑の空に見事に架かった虹を見つめていた。



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