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終止符.
第14章 想い

「純、あなたが、私を傷付ける事なんて出来ないわ。」
私の罪は、誰にも暴かれず、責められず、このまま朽ちて消えてゆく。
時が心を癒すのなら、私の罪も消して欲しい。
愛欲に溺れ、背徳に酔いしれていた私の罪を……
(クシュッ…)
純が小さくクシャミをした。
「純、風邪をひいてしまうわ。帰りましょう。」
「えっ?」
お風呂に入って温まったら、何か作ってあげるからちゃんと食事しましょう。」
「はい。」
奈緒は雨上がりの空を見上げながら、純の手を引いて歩き出した。
「あ、着信がたくさん入ってる。」
ポケットから携帯を取り出して純が言う。
「あなたを心配していたわ。」
「篠崎さんだ。」
「えぇ。」
「もしかして、奈緒さんにも?」
「電話があったわ。」
「……。」
「散々あなたを捜したの。ふふっ。」
「奈緒さん、傘は?」
「傘?…あ、慌てて飛び出して来ちゃった、あはは、。純…あなたを心配する人が他にもいるのよ。」
「僕は、奈緒さんがいればいいんです。」
純は上着を脱いで奈緒の肩に掛けた。
「ありがとう。でもこれ、凄く重たいわ。」
「あはは、雨の重みです。」
「うふふ、よく降ったわねぇ…」
「でもこの分だと、明日は晴れそうですよ。」
純が明るくなってきた空を見上げながら言った。
二人は手を繋ぎ、水溜まりを飛び越えながら坂道を歩いた。
「奈緒さん。」
「なあに?」
「僕がこのアパートで奈緒さんを見つけてから、もう一年が経つんです。」
「そう…」
二人は階段を上がった。
「僕の部屋はもうないけど…奈緒さんがここにいてくれる。」
純はドアの前で立ち止まって奈緒を見つめた。
「もう、僕だけを見てくれますか?」
奈緒は純の澄んだ瞳が苦しくて俯いた。
「私、あなたの行く先を曇らせないかしら…」
「あはは、そんなの無理ですよ。いったいどうやって?」
「………」
「僕はずっとあなたを追いかけて来たんです。 これからだって…。」
(クシュッ…)
奈緒がクシャミをした。
「あ、早く入らないと。」
純がドアノブを回した。
「あれ? 鍵が開いてる。」
「だから、飛び出して来ちゃったんだって……ッキャッ…」
純はドアの内側に奈緒を引っ張って強く抱きしめた。
私の罪は、誰にも暴かれず、責められず、このまま朽ちて消えてゆく。
時が心を癒すのなら、私の罪も消して欲しい。
愛欲に溺れ、背徳に酔いしれていた私の罪を……
(クシュッ…)
純が小さくクシャミをした。
「純、風邪をひいてしまうわ。帰りましょう。」
「えっ?」
お風呂に入って温まったら、何か作ってあげるからちゃんと食事しましょう。」
「はい。」
奈緒は雨上がりの空を見上げながら、純の手を引いて歩き出した。
「あ、着信がたくさん入ってる。」
ポケットから携帯を取り出して純が言う。
「あなたを心配していたわ。」
「篠崎さんだ。」
「えぇ。」
「もしかして、奈緒さんにも?」
「電話があったわ。」
「……。」
「散々あなたを捜したの。ふふっ。」
「奈緒さん、傘は?」
「傘?…あ、慌てて飛び出して来ちゃった、あはは、。純…あなたを心配する人が他にもいるのよ。」
「僕は、奈緒さんがいればいいんです。」
純は上着を脱いで奈緒の肩に掛けた。
「ありがとう。でもこれ、凄く重たいわ。」
「あはは、雨の重みです。」
「うふふ、よく降ったわねぇ…」
「でもこの分だと、明日は晴れそうですよ。」
純が明るくなってきた空を見上げながら言った。
二人は手を繋ぎ、水溜まりを飛び越えながら坂道を歩いた。
「奈緒さん。」
「なあに?」
「僕がこのアパートで奈緒さんを見つけてから、もう一年が経つんです。」
「そう…」
二人は階段を上がった。
「僕の部屋はもうないけど…奈緒さんがここにいてくれる。」
純はドアの前で立ち止まって奈緒を見つめた。
「もう、僕だけを見てくれますか?」
奈緒は純の澄んだ瞳が苦しくて俯いた。
「私、あなたの行く先を曇らせないかしら…」
「あはは、そんなの無理ですよ。いったいどうやって?」
「………」
「僕はずっとあなたを追いかけて来たんです。 これからだって…。」
(クシュッ…)
奈緒がクシャミをした。
「あ、早く入らないと。」
純がドアノブを回した。
「あれ? 鍵が開いてる。」
「だから、飛び出して来ちゃったんだって……ッキャッ…」
純はドアの内側に奈緒を引っ張って強く抱きしめた。

