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終止符.
第14章 想い
雨はどしゃ降りから小雨に変わってきた。

「どうしてここに…」

純は慌てたようにゴシゴシと手の甲で目を擦ってから奈緒を見た。

こんな所で、ひとりで泣いていた純に胸が締め付けられ、愛しさが込み上げてくる。

「散歩。…あなたは?」

奈緒は両手を握りしめながら少し微笑んだ。

「びしょ濡れじゃないですか、中に入って下さい。」

純は立ち上がり、奈緒は東家の中に入った。

「傘は?」

「どうしてこんな所にいるの?」

「あの…気がついたら、アパートの前にいて…それで僕、慌てて戻って来たんです。」

純が俯いた。

奈緒は深い呼吸を何度か繰り返し、涙を堪えた。

「どこへ行くつもりなの?」

「えっ?」

「そんな、情けない恰好で、どこへ行くつもり?」

「すみません…もう、帰ります。雨も止みそうだし…」

純は悲しい顔で微笑んだ。

「風邪ひきますよ。奈緒さんも早く帰って下さい。」

そう言いながら、純は背を向けて歩き出した。


背を向けると純は振り返ったりしない。

旅立つ時もそうだった。
部屋を出て行く時もそうだった

いつもいつも

ひとりで泣いていたの?

ねぇ、

純…




「純っ! 何処にも行かないで!…あなたが好きなの…」


奈緒は泣きながら叫んだ。

「………」

純がゆっくりと振り返る。

「今、何て?」

「………」

「奈緒さん、今何て言ったんですか?」

純が目の前に戻って来た。

奈緒は恥ずかしくなって俯いた。

「あなたがいないと寂しい。」

「う…嘘だ…」

「……」

「僕、10才以上年上じゃないですよ。」

「……」

奈緒は頷いた。

奈緒は純に顔を覗き込まれて、俯いたまま動けなくなってしまった。

身体が震え涙が溢れ出した。

「僕は今ぼろぼろで…何一つ持っていない…それに今は頭の中が…」

「………」

奈緒はただ俯いていた。

「奈緒さん…」

純の手が奈緒の頬に触れた。

「……」

唇が奈緒の頬に触れ、奈緒は肩をすくめて純を見つめた。

「僕の事好き?」

奈緒は頷いた。

「ッ…」

冷たい唇が軽く重なり、一度離れて、二人は恥ずかしそうに見つめ合った。

純の瞳が熱を帯びて奈緒の唇を塞ぎ、熱い舌を激しく絡ませた。

奈緒は一瞬怯みながらも純を受け入れ、倒れないように背中にしがみついた。

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