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終止符.
第14章 想い

ソファーで雑誌を捲りながらうたた寝をしていた奈緒は携帯の震える音で目が覚めた。
沙耶だろうか…
『はい。』
ぼんやりと電話に出る。
『もしもし、篠崎です。』
『えっ!』
奈緒は飛び起きた。
『あ、はいっ…』
『彼はそこに行ってないかな。』
『えっ?』
『純君だよ、来てるかい?』
『い、いいえ…』
『………』
『どうしたんです、何かあったんですか?』
『いや、ちょっと心配に…』
『どうしたんです、はっきり言ってください!』
『…社長は彼に会えたよ。』
胸の音が突然鳴り響く。
『あの…それで…』
『彼は冷静に受け止めてくれた。』
『えっ?』
『本当の事を知りたいから全てを話してくれと何度も言うんだ。』
『嘘…』
純…
『社長は彼にこれまでの事を心から詫びて、涙を流しておられた。』
『嘘…』
『社長からの援助の申し出を、全て丁寧に断っていたよ。』
『……彼は…全てを知ったんですか?』
『…あぁ…社長は何度も、今はよそう、これから少しづつ話すからと言ったんだが、彼は…』
『…純はなんて?』
『親子なら、なんでも包み隠さず話してください、お父さん、と…』
あぁ…
『純…』
『彼は、社長の顔をじっと見つめながら真剣に聞いていた。』
胸の奥が震えて、涙が込み上げてくる。
『ぅぅッ…』
『彼が玄関を出て行く前に……本当の事を話してくれて嬉しかったです、ありがとうございました。もう、二度とここを訪ねる事はありません、と言うんだ。』
『純…』
『それから…君はこの事を知っていたのかと聞かれたよ。』
『えっ?』
『なぜか彼に嘘はつけないね…』
そう…
それなのに私は
『立花さんには、君を傷付けないでくれと、強く言われている、と話した。』
『純は…彼はなんて?』
『今日聞いたお話しの中で一番嬉しい言葉だと…』
『ぅッ…うぅッ…』
奈緒は口を押さえて嗚咽を洩らした。
『気になって電話をしても繋がらないんだ…』
『…っ!』
『きっと君の所だと…』
奈緒は電話を切って外に飛び出した。
どしゃ降りの雨の中を、傘も持たずに駆け出した。
絶対に見つける
絶対に探し出す
そしてもう離さない
絶対に
絶対に
沙耶だろうか…
『はい。』
ぼんやりと電話に出る。
『もしもし、篠崎です。』
『えっ!』
奈緒は飛び起きた。
『あ、はいっ…』
『彼はそこに行ってないかな。』
『えっ?』
『純君だよ、来てるかい?』
『い、いいえ…』
『………』
『どうしたんです、何かあったんですか?』
『いや、ちょっと心配に…』
『どうしたんです、はっきり言ってください!』
『…社長は彼に会えたよ。』
胸の音が突然鳴り響く。
『あの…それで…』
『彼は冷静に受け止めてくれた。』
『えっ?』
『本当の事を知りたいから全てを話してくれと何度も言うんだ。』
『嘘…』
純…
『社長は彼にこれまでの事を心から詫びて、涙を流しておられた。』
『嘘…』
『社長からの援助の申し出を、全て丁寧に断っていたよ。』
『……彼は…全てを知ったんですか?』
『…あぁ…社長は何度も、今はよそう、これから少しづつ話すからと言ったんだが、彼は…』
『…純はなんて?』
『親子なら、なんでも包み隠さず話してください、お父さん、と…』
あぁ…
『純…』
『彼は、社長の顔をじっと見つめながら真剣に聞いていた。』
胸の奥が震えて、涙が込み上げてくる。
『ぅぅッ…』
『彼が玄関を出て行く前に……本当の事を話してくれて嬉しかったです、ありがとうございました。もう、二度とここを訪ねる事はありません、と言うんだ。』
『純…』
『それから…君はこの事を知っていたのかと聞かれたよ。』
『えっ?』
『なぜか彼に嘘はつけないね…』
そう…
それなのに私は
『立花さんには、君を傷付けないでくれと、強く言われている、と話した。』
『純は…彼はなんて?』
『今日聞いたお話しの中で一番嬉しい言葉だと…』
『ぅッ…うぅッ…』
奈緒は口を押さえて嗚咽を洩らした。
『気になって電話をしても繋がらないんだ…』
『…っ!』
『きっと君の所だと…』
奈緒は電話を切って外に飛び出した。
どしゃ降りの雨の中を、傘も持たずに駆け出した。
絶対に見つける
絶対に探し出す
そしてもう離さない
絶対に
絶対に

