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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第5章 緑に睡る

「…十市…十市…いないの?」
まるでグリム童話に出てくる素朴な…けれどとても温かみがあり、どこか洒落た山小屋…これも十市手作りなのだ…その扉をそっと開く。
…十市はいなかった。
…猟場の見回りか…鴨に餌やりに行っているのかな…。
紳一郎は少しだけ落胆し、ゆっくりと部屋の中を見渡す。
テーブルには飲みかけの珈琲、齧りかけのフランスパンが無造作に置かれている。
…相変わらずだな…。
紳一郎はくすりと笑う。
椅子には作業着のシャツが大雑把に掛けられている。
シャツに手を伸ばし、貌を埋める。
…十市の煙草の匂いと…南国の熟れた果実のような匂い…そして野生的な牡の匂いがする…。
胸の高鳴りとは別に、下肢が甘く痺れるような感覚に襲われ…紳一郎は慌ててシャツを椅子に戻す。
…十市は…どこに行ったのかな…。
紳一郎は十市を探しに小屋を出る。
外には夏空が広がり、高原特有のさらりとした風が紳一郎の頬を撫でた。
まるでグリム童話に出てくる素朴な…けれどとても温かみがあり、どこか洒落た山小屋…これも十市手作りなのだ…その扉をそっと開く。
…十市はいなかった。
…猟場の見回りか…鴨に餌やりに行っているのかな…。
紳一郎は少しだけ落胆し、ゆっくりと部屋の中を見渡す。
テーブルには飲みかけの珈琲、齧りかけのフランスパンが無造作に置かれている。
…相変わらずだな…。
紳一郎はくすりと笑う。
椅子には作業着のシャツが大雑把に掛けられている。
シャツに手を伸ばし、貌を埋める。
…十市の煙草の匂いと…南国の熟れた果実のような匂い…そして野生的な牡の匂いがする…。
胸の高鳴りとは別に、下肢が甘く痺れるような感覚に襲われ…紳一郎は慌ててシャツを椅子に戻す。
…十市は…どこに行ったのかな…。
紳一郎は十市を探しに小屋を出る。
外には夏空が広がり、高原特有のさらりとした風が紳一郎の頬を撫でた。

