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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第5章 緑に睡る
「…俺からは…これです…。気に入ってもらえるかどうか…」
十市は椅子から立ち上がると戸棚から取り出した布袋をやや不安げに差し出す。
紳一郎はわくわくと中身を取り出し、息を飲んだ。
「…わあ…!これ…!」

…十市からのプレゼントは見事なシルバーフォックスの襟巻きだった。
青みを帯びた綺麗な銀狐の毛皮…
ふわふわで暖かく、それでいてしっとりと艶めかしく…
美しい。
…一度触れたら離れがたいような素晴らしい襟巻きだった。
「…これ、もしかして…」
「はい。俺が仕留めた銀狐の毛皮です。一枚皮にしたのを洋裁屋に持ち込んで襟巻きにしてもらいました」
…人見知りで口下手な十市が、そんなことをやってのけたなんて…!
紳一郎は感激で胸が熱くなる。

十市の狩猟の腕は天才的だ。
無駄な殺生はせず、獲物を一撃で仕留める。
ゲストを招いての狐狩りや野鳥狩りでは、十市が当たりをつけた場所から獲物が現れないことはなかった。
十市は天性の勘と本能で、長い巻き毛を靡かせて馬を駆使して猟場を生き生きと駆け回る。
…まるで古代ローマの戦士みたいだ。
その姿を見るたびに、紳一郎は十市を誇らしく思う。

「…十市、ありがとう。こんなに綺麗な毛皮は初めて見た…」
きらきらした瞳で十市を見上げる。
そして、甘えた口調で襟巻きを差し出す。
「ねえ、十市が巻いて」
十市はやはり眩しそうな眼をして黙って紳一郎の華奢な首に優しくシルバーフォックスの襟巻きを巻いてやる。
冷たいまでに整った紳一郎の硬質な美貌が柔らかい艶に包まれ、暖かく輝いた。
「…綺麗だ。…坊ちゃん…」
…愛の告白のような密やかな言葉が、十市の唇から漏れた。









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