この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第5章 緑に睡る

安佐の心尽くしのクリスマスのご馳走はどれも本当に美味しかった。
十市は紳一郎の為に栗を甘く煮たクリームを作ってくれていて、それをクリスマスプディングに掛けて食べるとほっぺたが落ちそうなほどの美味だった。
十市はウィスキー、紳一郎は赤ワインに蜂蜜とシナモンを入れ温めたホットワインで乾杯をした。
今夜の十市は珍しく生成りの襟付きのシャツにサスペンダーで吊ったココア色のパンツというやや改まった服装だ。
元々背が高く、手足が長く恐ろしくスタイルが良いので、きちんとした格好をすると、男の生来の美しさが際立つ。
緩い巻き毛の長い髪はこざっぱりと撫でつけられ、後ろに黒い革紐で一つに束ねられていた。
暖炉の炎に照らされた十市の横顔は、彫りの深い陰影がまるで西洋の俳優のように端正で…その中にも荒々しい野獣めいた色香が漂う…そんな美貌だった。
「…十市は綺麗だな…」
溜息のように言葉が漏れた。
…男らしく雄々しい美しい獣のような身体と、まるで西洋人の剣闘士のように彫りの深い精悍だけれど、どこか武骨な優しさを感じる情感ある美貌…。
紳一郎は十市の貌も身体も性格も全てが大好きだ。
十市は照れたように笑い、ウィスキーを飲み干す。
「…俺なんか…品がないし教養はないし…ちっとも綺麗じゃないです。
…でも、坊ちゃんは綺麗です。俺は仕事でたくさんの貴族の旦那様や坊ちゃんや奥様やお嬢様を見てきたけれど、その中でも紳一郎様は一番綺麗です。
…誰よりも…綺麗だ…」
普段寡黙な十市が珍しく饒舌に語り出す。
いつも眩し気に紳一郎を見ていた眼差しが今夜は熱い熱を帯びているような気がして、紳一郎の頬はかっと火照った。
…ワインのせいだ…。
自分に言い聞かせる。
紳一郎は俯いて、小さく呟いた。
「…ありがとう…」
そして、わざと元気に立ち上がり陽気に口を開いた。
「ねえ、十市。お前にクリスマスプレゼントがあるんだ」
十市はいつもの穏やかな表情に戻り、微笑った。
「…実は…俺もあるんです」
二人は貌を見合わせて、嬉しそうにくすくすと笑った。
十市は紳一郎の為に栗を甘く煮たクリームを作ってくれていて、それをクリスマスプディングに掛けて食べるとほっぺたが落ちそうなほどの美味だった。
十市はウィスキー、紳一郎は赤ワインに蜂蜜とシナモンを入れ温めたホットワインで乾杯をした。
今夜の十市は珍しく生成りの襟付きのシャツにサスペンダーで吊ったココア色のパンツというやや改まった服装だ。
元々背が高く、手足が長く恐ろしくスタイルが良いので、きちんとした格好をすると、男の生来の美しさが際立つ。
緩い巻き毛の長い髪はこざっぱりと撫でつけられ、後ろに黒い革紐で一つに束ねられていた。
暖炉の炎に照らされた十市の横顔は、彫りの深い陰影がまるで西洋の俳優のように端正で…その中にも荒々しい野獣めいた色香が漂う…そんな美貌だった。
「…十市は綺麗だな…」
溜息のように言葉が漏れた。
…男らしく雄々しい美しい獣のような身体と、まるで西洋人の剣闘士のように彫りの深い精悍だけれど、どこか武骨な優しさを感じる情感ある美貌…。
紳一郎は十市の貌も身体も性格も全てが大好きだ。
十市は照れたように笑い、ウィスキーを飲み干す。
「…俺なんか…品がないし教養はないし…ちっとも綺麗じゃないです。
…でも、坊ちゃんは綺麗です。俺は仕事でたくさんの貴族の旦那様や坊ちゃんや奥様やお嬢様を見てきたけれど、その中でも紳一郎様は一番綺麗です。
…誰よりも…綺麗だ…」
普段寡黙な十市が珍しく饒舌に語り出す。
いつも眩し気に紳一郎を見ていた眼差しが今夜は熱い熱を帯びているような気がして、紳一郎の頬はかっと火照った。
…ワインのせいだ…。
自分に言い聞かせる。
紳一郎は俯いて、小さく呟いた。
「…ありがとう…」
そして、わざと元気に立ち上がり陽気に口を開いた。
「ねえ、十市。お前にクリスマスプレゼントがあるんだ」
十市はいつもの穏やかな表情に戻り、微笑った。
「…実は…俺もあるんです」
二人は貌を見合わせて、嬉しそうにくすくすと笑った。

