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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第5章 緑に睡る

十市の小屋に到着すると、扉を叩く前に彼が迎え出てくれた。
十市は紳一郎の頭に積もった雪を払うと、暖炉の前に連れて行ってくれた。
「…坊ちゃん。寒かったでしょう。手が冷たい」
ごつごつした十市の温かい大きな手が紳一郎のかじかんだ手を包み込む。
「…手袋、忘れちゃったから…」
神秘的な黒い瞳に優しく見つめられ、紳一郎はドキドキする。
十市は紳一郎の前に膝を着くと、紳一郎の手に唇を近づけ吐息を掛けて温めだした。
「…坊ちゃんの手は、小さくてきれいで可愛い…」
独り言のように呟く。
十市の温かな吐息…。
…一瞬、十市の唇が紳一郎の手を掠めた。
…くちづけされたような感触に、紳一郎の背筋に甘い戦慄が走る。
「…も、もう大丈夫。…ねえ、早くお祝いしよう!安佐が十市にって、たくさん美味しいものをもたせてくれたよ」
慌てて十市の手を離し、バスケットをテーブルの上に乗せて、中身を見せる。
十市はそれを見て、驚きに目を見開く。
「…こんなご馳走、見たことがない…」
「十市と一緒に食べたくて、楽しみにしていたんだよ」
十市は彫りの深い眼を細めて、頷いた。
ぱちぱちと薪が燃える暖炉の傍らのクリスマスツリーには温かな蝋燭がたくさん灯り、蜜蝋の甘い匂いがした。
十市は紳一郎の頭に積もった雪を払うと、暖炉の前に連れて行ってくれた。
「…坊ちゃん。寒かったでしょう。手が冷たい」
ごつごつした十市の温かい大きな手が紳一郎のかじかんだ手を包み込む。
「…手袋、忘れちゃったから…」
神秘的な黒い瞳に優しく見つめられ、紳一郎はドキドキする。
十市は紳一郎の前に膝を着くと、紳一郎の手に唇を近づけ吐息を掛けて温めだした。
「…坊ちゃんの手は、小さくてきれいで可愛い…」
独り言のように呟く。
十市の温かな吐息…。
…一瞬、十市の唇が紳一郎の手を掠めた。
…くちづけされたような感触に、紳一郎の背筋に甘い戦慄が走る。
「…も、もう大丈夫。…ねえ、早くお祝いしよう!安佐が十市にって、たくさん美味しいものをもたせてくれたよ」
慌てて十市の手を離し、バスケットをテーブルの上に乗せて、中身を見せる。
十市はそれを見て、驚きに目を見開く。
「…こんなご馳走、見たことがない…」
「十市と一緒に食べたくて、楽しみにしていたんだよ」
十市は彫りの深い眼を細めて、頷いた。
ぱちぱちと薪が燃える暖炉の傍らのクリスマスツリーには温かな蝋燭がたくさん灯り、蜜蝋の甘い匂いがした。

