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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第5章 緑に睡る
その日から紳一郎は公彦の眼を盗んで、十市に会いに行った。
多忙で不在がちな公彦に分からないように十市に会いに行くのは容易いことだった。

公彦が屋敷にいて会えない時には、紳一郎の部屋の窓から十市の小屋に向けて、ランプの灯りで信号を送った。
ランプの灯りを二回点滅させると今日は行けないという合図だ。
合図を送ると間も無く、十市の小屋から同じく二回点滅したランプの灯りが輝く。
了解だという合図だ。

暗闇の中、樹々の間から橙色の灯りが見えると、紳一郎はほっとする。
会えないのは寂しいが、ランプの灯りで十市と繋がっているような気がするからだ。

…僕と十市はまるでロミオとジュリエットみたいだ。
ついこの間、読んだシェイクスピアの愛の物語…。
周囲から二人の仲を反対されている恋人同士が、こっそり愛を語らうバルコニー…。
あの二人は…最後は死んでしまうのだっけ…。
そう思いを馳せながら、ふと我に帰る。
…僕も十市も男じゃないか。
何を考えているんだ!

一人で赤くなりながら首を振る。
ベッドに飛び込み、うつ伏せになる。

…十市…。
十市は今何をしているかな…。
暖炉の前で煙草を咥えながら、猟銃の手入れをしているのだろうか…。

十市の煙草の匂いと…それからどこか南国の果実めいた長く緩やかな巻き毛の匂いが胸に蘇り、身体の芯が疼いた。
体験したことのない甘い疼きに紳一郎ははっと身体を強張らせる。
とても罪深い快楽を感じたような気がして、紳一郎は慌ててブランケットを頭から被り、強く眼を閉じた。
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