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遠い日の約束。
第13章 混在する記憶


───…


『アッ…葉月…アアアッ』

美弥の甘美な声が聞こえてきた。
その声が何をしているのか見なくても分かるほど艶のある声だった。

『いいよ…我慢しないで』

葉月の声もどこか幸せそうで、涙が出そうになる。

『ハァン…』

『美弥の顔…感じている顔…可愛い』

『…はづ…葉月…?』

美弥の恥ずかしそうな声で、どんな表情をしているのか想像がついてしまう。

『隠さないで…美弥の全てを俺に見せてよ…感じている美弥は…きれいだ…今まで見た、どんな表情より、きれいだ…』

葉月の甘い言葉が、私の耳をくすぐる。
私に言った言葉ではないと分かっていても…心がキュンとして、私の大事な場所もキュンとする。

『美弥…いい?もう待てない…』

いつの間にか、余裕のない葉月の言葉。
ふたりの情事を聞くのは失礼だと思いながら、ふたりの幸せになる瞬間に立ち会いたかった。

『わっ…私も…葉月が…欲しい…』

『ありがとう…』

『そんなに珍しいの?』

見ていないのに、今、美弥が何をしているのか手に取るように分かる。
美弥は葉月の男らしい胸をツーッと触って葉月を感じている。
どうして分かるかなんて…もう考えなくても分かっている。

『長いこと…一緒にいたのに…初めて見た気がするの…私が安心する場所』

『この胸に抱くのは美弥だけだよ…余計な話はおしまい。それより…いい?』
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