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遠い日の約束。
第13章 混在する記憶


───…


──わぁぁぁん

子供の泣き声が聞こえた。
どこから聞こえてくるのだろうと境内を歩いて声のする方に向かった。

『蘭子。そんなにしたら使い物にならないよ』

その言葉に泣いているのが蘭子だと分かる。

『一緒に折ろう?教えてあげる』

麻耶の声がとても穏やかに聞こえる。
でも麻耶がここにいるということは美弥は?

『ヒクッ…本当?』

『うん。色々な折方教えてあげる。母様はね。姉様に教えてもらったんだよ』

その言葉の後、少し静かになる。
麻耶は蘭子に折り紙を教えているのだろう。
それは微笑ましい光景なのかもしれない。
だけど…
そう思っていると、廊下の向こうから葉月が歩いてきた。
麻耶に会いに?

『母様すご~い』

蘭子の興奮した声が響き渡った。
その声を聞いて葉月は父親の優しい表情になる。
そして障子を開けて中にいるふたりに声をかけた。

『ただいま』

『父様。お帰り──』

障子の向こうに現れた蘭子は葉月に飛びついて軽がると抱き上げられていた。

『ただいま。お利口にしてたか?』

『もちろんだよ。蘭子、お利口さんだもん。今日はね。母様にね。折り紙を教えてもらったの。あれぜ~んぶ。作ったんだよ。』

机の上に置いてあるたくさんの折り紙を指差して得意げに告げた。
だけど、得意げに言うだけあって色々な動物が並んでいた。

『蘭子が作ったのか?すごいなぁ』

関心しながら蘭子を抱きしめた。

『取られちゃったね』

その時、初めて美弥がいることに気がついた。

『うん。抱きつくの私の特権だったのにね』

ふたりの楽しそうな笑い声が私の耳に届く。
その楽しそうな笑い声に美弥の心が戻り、心豊かに過ごせているのだと分かった。
あんな酷い目にあったのにこの穏やかな笑い声。
永遠に続けば言いと願わずにはいられない…

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