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遠い日の約束。
第13章 混在する記憶
『どのくらいに帰ってくる?』

『晩御飯までには帰ってくるよ』

『本当?』

『ああ。だからそれまで、一人で待ってられる?』

美弥はふたりのやりとりを悲しい表情をしながら見ていた。
見て欲ほしくないのに、私にはどうすることもできなかった。

『大丈夫…帰ってきたらまた抱きしめてくれる?』

『いいよ。抱きしめてあげるから…待ってて』

その言葉が終わると同時に美弥の表情は歪み絶望的な瞳になる。
葉月と麻耶がキスをしているのは嫌でも分かってしまう。
いえ…私は知っているの。
なぜか、葉月と麻耶が熱いキスをしていることを…知っている。

『嘘つき…』

踵を返して逃げるように走って行く。

「待って!!美弥。待って!!」

美弥の苦しみを思うと叫ばずにはいられない。
これから先の美弥の苦しみを思うと、叫ばずにはいられなかった。

「間違わないで!!葉月が美弥のこと好きな気持ち、疑わないで。じゃないと…」

どうしてか涙が溢れ出す。

「じゃないと…不幸になる…」

涙で視界が揺らぎ…空間が歪む…
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