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遠い日の約束。
第13章 混在する記憶

───…
「ハァハァハァハァ…」
どこをどう走ったのか分からない。
美弥の悲痛な叫び声を聞きたくなくて私は美弥を置き去りにして逃げた…
今でも、耳の奥に残っている。
やめてと絶叫する美弥の叫び声が…
『葉月…ごめんなさい…』
ひそかに耳に届く美弥の声にハッとして振り返った。
そこには無残にも変わり果てた美弥が呆然と立ち尽くしていた。
「美弥…さっき…宝賀に…」
そう言いかけて、さっきの男の名前を知っていることに戸惑った。
なぜ自分が知っているのか…恐怖が襲ってくる。
『じゃあ、行って来るよ』
カタンと扉が開き葉月と麻耶が表に姿を現した。
『葉月…私はここ…。…助けて』
美弥は小さな…とても小さな声で葉月に助けを求める。
「あっ…ダメ…その先は見てはダメ!!」
直感的にそう思い両手でふたりを見えないように隠す。
だけど隠れるわけがない。
私はこの時代にいない人間なのだから…

