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遠い日の約束。
第13章 混在する記憶

───…
薄暗い…森?林?の中…
夕日が沈みかけ、薄暗さに不気味さを感じた。
ここは嫌い。
ここは私の心を傷つけて闇に落とす。
カサッと落ち葉を踏みしめる音が聞こえてそちらを振り返った。
そこには美弥と…知らない男性が歩いてきていた。
その男を見て、ドクリと心臓が波打つ。
ふたりは仲良く話しているけど、その男は嫌い…
だって、その男は彼とそっくり…
ふたりは私にきがつかず足を進める。
その先にある一軒家に向かって。
「ダメっ…」
そう告げたい。
だけど、私の言葉は彼女には届かない。
なぜなら、私はこの空間にはいない人間だから…
家の中に入って行った男性を美弥は待っている。
その先の悲劇を知らずに、美弥はただ待つ…
扉が開き、先ほどの男性が出てきた。
『お待たせしました…この家の主人があたなにお礼がしたいらしいですが、会ってもらえますか?』
『いえ…お礼なんて…』
『ぜひ、お願いします。彼の機嫌を損ねると私が怒られますから』
美弥は渋い顔をしながら中に入ろうとする。
だけど一瞬の躊躇い。
「美弥!!逃げて!!その家に入らないで」
私は咄嗟に走り出していた。

