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遠い日の約束。
第13章 混在する記憶
そんなふたりは、桜が散る中、抱き合ってキスをする。
その姿がとてもきれいで見惚れてしまうほどだった。
きっとふたりは幸せになれる。
幸せになれると誰も疑いもしないのだろうと微笑ましく見ていた。

『美弥…しあわせにするから…愛してる』

『私も愛してる…葉月』

そう愛を囁き合い、またキスをする。
好きで好きでたまらないんだろうと思う。
その気持ちは私にもわかるから。
私も俊樹の事好きで好きでたまらない。

俊樹に会いたいな…

ふたりは唇を離し見つめあい微笑み合う。
そして寄り添いながら歩いて行った。

「幸せなってね…」

どうしてか、そう願わずにはいられない。
美弥が泣かない人生を送って欲しいと思う私の心は何なのか…

カサリと草むらで何かが動いたのを感じて近寄ってみた。
そこには小さいくうずくまり、葉月と美弥を睨みつけている少女がいた。
その少女はきっと、麻耶だ。
その瞳を見て直感的にそう思った。

ぐらりと視野が揺らいだ。
今度はどこに飛ばされるんだろうかとなんとなく現状を把握し始めていた。
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