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遠い日の約束。
第13章 混在する記憶
『どうした…?怪我をしてるじゃないか…こちらに来なさい』

この寺の住職の方が美弥に気がついてくれて、私はほっとした。
長い廊下で住職に手当てをしてもらっている美弥は寂しそうな瞳で麻耶を見ていた。
そこには両親に囲まれ笑顔で甘えている麻耶がいた。

『いいなぁ…』

美弥の小さな言葉が私の胸に刺さる。
美弥の想いが嫌というほど分かるのはなぜだろう。
私は両親、彩ちゃんにとてもかわいがられて育った。
どちらかというと、彩ちゃんが私を溺愛していたフシがある。
何をするにしても私優先。
それを両親も理解してくれていた。
だけど、彩ちゃんもこの子みたいに寂しく見てたのかな。
もっと自分にも目を向けてよって言えない言葉を飲み込んで、良い子でいようとしていたのかな?
美弥の想いを彩ちゃんの心とダブらせていた。

「ねぇ…美弥ちゃん…」

寂しそうに麻耶を見ている美弥に声をかけようとしてまた視野が揺らいだ。
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